(終了)<札幌音楽家協議会共催>第9回オンラインレクチャー 作品をつらぬくひとつの音―ショパンとドビュッシー

日時:1月31日(日)19:00~21:00

講師:西田 諭子 先生


札幌音楽家協議会&庭園想楽 共催 企画

(本企画は、札幌音楽家協議会様との共催企画になります。札幌音楽家協議会会員の方は、同協議会経由でお申し込み頂くことにより無料でご参加頂けます。)


講座概要

ショパンの作品の調性構造について

◆ショパン《ピアノ・ソナタ 変ロ短調》作品35,第1楽章

 このソナタの提示部の繰り返しの開始位置に関して、現存する自筆稿とは異なるヴァージョンが多くの版(パデレフスキ版など)で採用され、広く定着している現状がある。誤ったヴァージョンは、いつ、どのように定着したのか、複数の初版(フランス版、ドイツ版、イギリス版)の画像を見ながら確認し、自筆稿に残されたショパン自身によるヴァージョンの正当性を、和声や動機の観点から検証する。

ショパン自身によるヴァージョンからは、ショパンに特徴的な「主調と平行調の関係」が見えてくる。


◆ショパン《スケルツォ 変ロ短調(?)》作品31

 この作品では、互いに平行調の関係にある変ロ短調と変ニ長調が、ともに主調的な働きをしている(つまり、《スケルツォ 変ロ短調》でもあり《スケルツォ 変ニ長調》でもある)。「ショパンにおいては平行調も同主調もトニックの範囲に含まれる」というCharles Rosenの指摘をヒントに、この作品の調性構造を検証する。同様の例として《ファンタジー ヘ短調(?)》作品49についても取り上げる。

また、この《スケルツォ》では、曲中で形成される複数の調に共通する特定の音高(ヘ音、嬰ハ=変ニ音)が強調されている。強調音と作品全体の調性構造との関係について考え、強調音とショパン特有のピアニズムの関連についても触れる。


ショパンとドビュッシー

◆ドビュッシー《版画》より第2曲〈グラナダの夕べ〉

まず、ドビュッシーの作品に見られる、旋法的な中心音を取り上げる。その上で、ドビュッシーが好んで用いた「特定の音高を強調することによって調的な中心を作り出す」という書法を、ショパンの作品に見られる、構造的機能をもった強調音の延長線上にあるものとして位置づける。


◆ショパン《ノクターン 変ロ短調》作品9-1、《プレリュード ヘ長調》作品28-23

ショパンの作品に見られる、解決しない属七和音の例を取り上げる。ポーランドのショパン研究家Ludwik Bronarskiは、シェンカーの理論を引き合いに出して、これらのケースに見られる属七和音は協和音であり解決する必要はないと延べているが、「倍音列に含まれる音はすべて協和音」とみなしたのはドビュッシーであった。ショパンの《プレリュード》に見られる、解決しない属七和音は、よく言われるように「ドビュッシーの和声書法の先駆け」なのか、検証する(ショパンにおけるフリギア旋法についても触れる)。


西田 諭子(にしだ さとこ)先生 略歴

国立音楽大学(器楽科ピアノ専攻)卒業後、2002~2006年、ポーランド国立ショパン音楽院(現ショパン音楽大学)研究科留学。2010年、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士前期課程修了。2015年、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科博士後期課程修了(人文科学博士)。お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究院研究員(2015~2016年)、お茶の水女子大学基幹研究院研究員(2016~2017年)を経て、現在くらしき作陽大学非常勤講師。

2008年、ピアノ・リサイタル「ショパンとその時代Chopin and His Era」開催(岡山県、岡山県教育委員会、早島町教育委員会、日本放送協会岡山放送局、山陽新聞社後援)。

2012年、『2012年度フォーラム・ポーランド会議〈ポロネーズをめぐって〉』で講演(「ポロネーズからファンタジーへ―ショパンのポロネーズの調性に関する考察」)。2015年、『BUNCADEMY第3回若手研究者による音楽学講座』でレクチャーを担当(「ショパンの和声・調性書法における強調音のはたらき」)。

共訳書に、『ショパン全書簡1816~1831年 ―ポーランド時代』(2012年、岩波書店)、『ショパン全書簡1831~1835 ―パリ時代(上)』(2019年、同)『ショパン全書簡1836~1839年 ―パリ時代(下)』(2020年、同)。訳書に、アリーナ・ノヴァク=ロマノーヴィチ『ユゼフ・エルスネル研究』(科研費成果報告、基礎研究(C)2014-2017、研究課題番号26370106、研究代表者:加藤一郎、2017)、『ショパンの国のピアノ曲』(2020年、全音楽譜出版)。



参加費 1000円(開催経費として)


参加方法(札幌音楽家協議会会員の方は、協議会経由でお申し込みください。)

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開演一時間前を過ぎますと、お支払い方法に関わらず講座料1,500円とさせていただきます。


<注意事項>

PayPalご登録のメールアドレスとお名前に誤りの無いようご注意ください。

また、最下部の「受講に際してのお願い」を必ずお読みください。

お問い合わせはteiensogaku@gmail.comまでお願いします。


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普通預金  口座番号3637511


また、お振込み頂いた際にteiensogaku@gmail.comまでお知らせ下さい。こちらで振り込みの確認をさせて頂き、当日の1時間ほど前にお知らせ頂いたメールアドレスへzoomのアクセスリンクをお送り致します。以下の「受講に際してのお願い」を必ずお読みいただき、ご参加ください。


----- 受講に際してのお願い -----

1. 主催者はカメラをオンにして参加する予定ですが、それぞれご事情もあると思いますので、カメラをオンにするのが難しい方はオフでも構いません(音声だけ参加も可)。ただし、お名前は実名表記でお願いいたします。ペンネーム等での参加は認められせん。

当日のイベントの様子は主催者が録画し、後日編集の上配信する予定です。ご参加の際、ご自身の顔などを映したく無い方は、カメラをオフにするなどしてください。

2. 今回はレクチャー形式になりますので、質問のある時以外は、設定を「ミュート」にして頂きますようお願いいたします。レクチャー後半に質疑応答の場を設けますのでその際に、ご発言頂けますようお願いいたします。

3. 会の運営にあたり一般的なマナーをお守り頂ける事を前提としております。暴言や他人を攻撃する行為等、会の運営を妨害していると考えた際には主催者により退室して頂くこともございますのでご了承ください。

庭園想楽

庭園想楽は、日本庭園の精神である不易流行の思想から着想した、未来につながる音楽を創造するために様々な事柄を学ぶための場です。 過去の音楽芸術の研究や、作品の制作、演奏実践等を通して今日の音楽の在り方について問い直していきたいと思います。 また「庭園想楽」に関わる人々が、それぞれの視点から音楽やその他の芸術に関わる美について考え、議論を通して新しい世界を生み出すことを目的としています。