第19回 オンラインレクチャー ドッペルゲンガーと反復強迫――シューベルトの“心のくせ”に迫る

日時:10月25日(火) 19時 - 21時

講師:堀 朋平 先生

講座 ドッペルゲンガーと反復強迫――シューベルトの“心のくせ”に迫る


講座概要

 「ロマン派」のメンタリティは、さまざまな内実をもっています。あこがれ、痛み、愛、天上への思い、隠遁など……。これらのなかには、19世紀よりずっと昔の古代思想をひもといたり、逆に現代のいとなみを参照したりすることで、初めてその意味がわかってくるものも少なくありません。たとえばシューベルトの音楽に流れるペシミズムと、それゆえに生じる強いあこがれの感情が、古代に淵源をもつ異端的な宗教性に通じていたことを前回の講座(8月13日)でお話しました。

 今回は、19世紀末に花開いた精神分析の助けを借りてみましょう。シューベルトがおそらく最晩年に出会ってひとつづきの自筆譜に書きつけた6作からなる歌曲ツィクルス――すなわち《白鳥の歌》D957の後半――には、詩人ハイネの性向に寄り添った“心のくせ”が顕著に見られます。いやなことを繰り返してしまうこと、「痛みを反復すること」です。奇しくもハイネの没年に生まれた精神分析の大家フロイトによる「反復強迫」の概念や、フロイトを継承するラカンの発想を援用することで、これらのツィクルス、とくに最終作《ドッペルゲンガー》を徹底的に読み解きます。そのことで、作家は生涯をかけていったい何を追い求めるのか、といった問題にも迫っていくことになるはずです。


講師:堀 朋平 先生 略歴

住友生命いずみホール音楽アドバイザー、国立音楽大学ほか非常勤講師。東京大学大学院博士後期課程修了(文学博士)。専門は美学・音楽学。著書『〈フランツ・シューベルト〉の誕生――喪失と再生のオデュッセイ』(法政大学出版局、2016年)、編著『バッハ キーワード事典』(春秋社、2012年)。訳書に、近代の音楽観をダイナミックにたどるボンズ『ベートーヴェン症候群』(共訳、春秋社、2022年)など多数。他分野と交わる“ひらかれた”音楽研究をめざしつつ、レクチャーコンサートにも積極的にたずさわっている。近刊論文「編集された「クレド」の神学――グノーシスとシューベルト」(『美学』第260号、2022年7月)、近著『わが友、シューベルト』(アルテスパブリッシング)。


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庭園想楽

庭園想楽は、日本庭園の精神である不易流行の思想から着想した、未来につながる音楽を創造するために様々な事柄を学ぶための場です。 過去の音楽芸術の研究や、作品の制作、演奏実践等を通して今日の音楽の在り方について問い直していきたいと思います。 また「庭園想楽」に関わる人々が、それぞれの視点から音楽やその他の芸術に関わる美について考え、議論を通して新しい世界を生み出すことを目的としています。